前回は、ダップルの特徴と交配について書きました。今日は遺伝について少し書いてみましょう。
交配を依頼されたとき、交配するメス自身と血統書を確認させていただくのですが、稀にその子がシルバーダップルで両親がブラックタンとクリームのようにダップルでないカラーになってることがあります。そのまた両親へとたどっていくとクリームの両親にシルバーダップルとブラッククリームとなってました。これは、クリームの
ダップルを見落としているのです。
ダップルはキャリー(その子自身には現れてないが遺伝子として受け継いでいること)
しません。また、ブラックタン同士の組み合わせでダップルが生まれた場合、これはどちらかのブラックタンのダップルを見落としたのでしょう。前回も書きましたが、ダップルの起こる面積や場所に規則性はありませんので、分かりにくい場所で起これば見落とすことがあるためです。
毛一本でもダップルは起こります。この場合は、経験豊富なプロでも見分けるのが難しいでしょう。
前出のクリームのダップルに話を戻します。このクリームの子がピュアクリームだった場合とシェーデッドクリームの場合、ピュアクリームダップルで産まれてきたならば見落とすこともあるのですが、シェーデッドクリームダップルの場合は極端な例(毛一本単位でダップルが起こった場合や差し毛のない場所のみにダップルが起こった場合等)を除いて産まれたときに判別できます。
上の画像の右から5番目の子が
シェーデッドクリームダップルです。班模様がよく分かりますね。この子が成長すると下の画像です。
40日齢ぐらいでほとんど
ダップル模様が消え、辛うじて確認できるぐらいです。あと30日もすれば全く分からなくなるでしょう。
この場合、問われるのは
繁殖者の倫理観でしょう。血統書をシェーデッドクリームで登録するか、クリームダップルにするかということです。これには金銭、つまりいくらの値段を付けられるかになります。「どうせ分からないから・・。」とシェーデッドクリームで登録すると昨今のクリーム人気で高額に売ることも出来るでしょうが、もし繁殖でシェーデッドクリーム同士の掛け合わせをした場合、相手のシェーデッドクリームもダップルだったら・・。
クリームのダブルダップルが誕生することになります。最悪の場合、ほとんど真っ白の体色で両目は赤、鼻などの色素ポイントは薄いピンク・・。想像するだけで
ゾッとします。
ダックスの場合、相変わらずクリームなど薄いカラーに人気があります。売る側の
商売ベースに有利なカラーこそこんな落とし穴があることを忘れないで下さい。両親が確認できるしっかりとしたところを探すことをおすすめします。
ただ、勘違いしないでいただきたいのはクリームダップルだったとしても、その子自身、生活していくことには問題はありません。生涯のペットとしては立派なパートナーとなってくれることでしょう。